NPO法人世界ヒバクシャ展は、2002年に広島、長崎の被爆者の写真を40年以上にわたって撮り続けてきた写真家の森下一徹が、世界各地のヒバクシャの写真を撮り続けてきた写真家に呼びかけて設立しました。
原爆、核実験、原発事故、劣化ウラン弾、ウラン鉱山などによるヒバクシャは、人類が生み出した愚かな現実の最大の証人です。
その体験と証言を写真で伝え、核兵器も原発もない世界を目指す運動の輪を広げることを目指して、6人の写真家(森下一徹伊藤孝司 桐生広人 豊崎博光 本橋成一 森住卓)の写真展を国内外で開催してきました。
森下一徹が病に倒れ、ほぼ6年にわたって活動を中断していましたが、福島第一原発事故を受けて、森下一徹の娘、森下美歩を中心に、2011年暮れから活動を再開し、独自の写真展を開催したり、写真展などのイベントに積極的に写真を貸し出したりしています。
2013年からは、京都での金閣寺・銀閣寺とのコラボ写真展を皮切りに、世界遺産と人類の記憶遺産としての世界ヒバクシャ展とのコラボ企画も始めました。
2020年までに世界100ヵ国で写真展を開催するというNPO設立当初からの目標の実現に向けて、台湾、韓国など海外でも写真展を開催してきており、海外での展開を本格化していく予定です。
療養中の写真家・森下一徹が、どんな思いで被爆者の写真を撮り、なぜ世界ヒバクシャ展を始めたかを語っています。ぜひご覧ください。
私は訪問介護の仕事をする中で、お年寄りからたくさんの戦争体験をお聞きしました。多くの方が「戦争はいけない」「人間としてひどい過ちを犯してしまった」「できるものならおわびしたい」と、心にわだかまりを残したまま亡くなっていかれました。
世界ヒバクシャ展の活動を引き継ぐにあたって、私は、“おわび”から始めたいと思います。
太平洋戦争で多大な迷惑をかけてしまった韓国・北朝鮮をはじめとする国々の人たちへのおわび。ヒロシマ、ナガサキの被爆を経験しながら、核実験や、湾岸戦争など世界の戦争、イラクなどでの劣化ウラン弾の使用を止められず、先住民族の聖地をウラン採掘や核廃棄物の投棄などで汚すことも止められず、世界中にヒバクシャを生み出してしまったことへのおわび。
そして、「原子力の平和利用」という言葉の下で原発の建設を許し、福島第一原発事故を引き起こして世界中に放射能をばらまいてしまったことへのおわび。
日本人として、こうしたおわびの言葉をきちんと伝えながら、現実を見つめ共に未来を考える材料として、世界にヒバクシャの写真を展示・紹介し、広島・長崎の原爆で亡くなった人たちをはじめ、犠牲となった世界のヒバクシャたちの命を無駄にしないようにしていきたいと思います。
今日、世界は様々な問題を抱えています。街の犯罪から、大規模な戦争やテロなど、これらは、私たちが子どもから楽しい時間を奪った結果です。子どもたちの無邪気は世界を癒す想像力の種です。この写真展は、世界の子どもたちに、私たちの過ちを知ってもらい、地球のこれからを考える勉強の教材としても役立てば幸いと思っています。
厳しい現実をみつめることからしか、未来への希望は生まれないのです。
理事 森下美歩(代表)
理事 安在尚人(事務局長)
理事 小澤陽祐
理事 片岡和志
理事 山本尚範
監事 古川順弘